レイトショーに間に合えば

京都に住む三十路独身女が、映画を見たり飯を食ったりするだけの日常。言葉を思い出すために書く。

二重にすれば人生変わると思っていた女のブログ

初めまして、くるみと言います。

どこにでもいるような弥生顔の地味女です。

碁盤の目の外で細々と生きています。

 

そういえばこの間二重に整形したんですよ。

元々厚ぼったい一重なのだが、20代の間中ゲジゲジのように濃い付け睫毛を装着し続けることで、なんとか二重になりきってきた。

 

しかし、平成も終わる。昭和生まれの私にもそろそろ革命が必要だ。

ナチュラルメイクに切り替えるのも20代のうちだ!

そう考えていたところ、

 

「すごく目がぱっちりしますよぉ~」というネイリストの営業にまんまと乗ってしまった。(近頃はネイルとまつエクどちらも施術できるような美容院が多いのだ)

 

記念すべき、人生初まつエク。お会計は5,000円程だったと思うので毎月購入する付け睫毛代とほぼ変わらない。

「さあ、ゆ~っくり目を開けて鏡を見てみてくださいね~」

 

選択したコースは両目60本ずつ、出来上がった顔面を見て思わず笑ってしまった。

 

可哀そうに。

か細い自睫毛の上にピンセットと糊で貼り付けられただけの人口毛たち。

彼らは、幼き頃に抱かれた母の腕のようにしっかりと眼球を包み込む上瞼の前においては、さながら死んだ蚊の足のように無力であった。

 

そんなこんながありまして、全身麻酔を打たれ数十万の金を払ってまで二重を手に入れる決意をした女の雑多な日常がここに刻まれることとなります。

 

麻酔で薄れゆく意識の中で見たのは、可哀そうなアル中じいちゃんに酒を飲ませる『凶悪』のリリー・フランキーであった。